緊急事態宣言も解除され始め、自粛の生活が緩和されつつある地域も出てきたようです。パフィーズではこれまでに、新型コロナウイルスに関する記事を配信してきました。今回は、自然保護に長年携わってきた代表Mariの視点から、私達人間と地球の生きもの、そして新型コロナウイルスについてお話しさせていただきます。

前回のCEOステートメントから約1か月経ちました。
 
今は人によって向き合い方が様々ですね。「アフターコロナ」という言葉も目にするようになりました。未来がなかなか見えない今、不安やストレスを感じられている方もいらっしゃると思います。今日は、どんな未来が描けるかについて、自然保護に関わってきた者として、そしてパフィーズの共同代表として、私の感じていることを皆さんと共有したいと思います。少し長いですが、読んでいただければ幸いです。
 
まず、新型コロナウイルスで亡くなられた方、感染症状が重かった方には、心からお悔やみ、お見舞いを申し上げます。また、医療関係者をはじめ私たちの生活を支えてくださる方々に心から感謝の意を表したいと思います。

地球の生きものと新型コロナウイルス
自然保護に携わり人間と他の生き物の関係について研究してきた者として思うことは、マイクと同じく私も驚かなかったな、ということです。こうして文章を書いている今も、地球の生きものは急速に消えていっています。それだけでも、新型コロナウイルスのようなことが起こるのは仕方がない。私はそう思っています。これについては後からお話します。
 
これまでが「表面張力」だったのかな、と思います
人間社会のことを先に書きます。消費や開発の文化であふれそうになっていた私たちのグラスの水。そこに新型コロナウイルスの一滴がポトンと落ち、あっという間に水があふれた、そんなイメージです。これまでが、「表面張力」だったのかな、と。グラスを地球とすると、その容量をすでに超えてしまっていたような気がします。楽観的観測が、表面張力を支えていたのでしょう。

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便利な生活で、「深く考える力」が奪われていた?
実際、新型コロナウイルスは、たくさんの皮を剥ぎました。経済、社会の面、つまり人間の問題について。いわゆる社会不安は常にあったのに、便利でスピーディーでエキサイティングに思える生活が、私たち人間だけが本来持っているはずの「深く考える力」を奪っていたかもしれません。インターネットやSNSの普及で、さらに深く考えることをやめた人が多いと言われています。
 
きれいな空と空気を犠牲にしても本当に欲しかったもの?
例えば、経済活動が縮小して世界のいろんなところできれいになった空。私たちがこれまで得たものは、きれいな空と空気、生活の基盤を支える労働者の健康を犠牲にしても本当に欲しかったものなのでしょうか?

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なぜ「経済は成長しつづけなければならない」という前提なのでしょうか。GDPは、企業の収益は、下がってはいけないものなのでしょうか。どんな犠牲を払っても?利益は一部富豪や権力者に集中し、しわ寄せはいつも弱い人たちにやってきます。それは、社会が安定しないということなのです。もちろんこれは政治経済の制度の問題です。それでも、市民として消費者として何を求めるかを考えることが必要です。
 
私がとても悲しく思った数字があります
そうして未曾有の「経済発展」をしてきた私たちが犠牲にしたものが、やっと今、明らかになりつつあります。私たちが忙しく仕事をしたり旅行をしたり、買い物をしたり買ったものをゴミにだしたりしている間に、地球から生きものが消えていっていました。

私がとても悲しく思った数字があります。地球上に存在するほ乳類の96%は、人類(36%)と家畜(60%)になり、野生のほ乳類はたったの4%になってしまったという数字です。(英ガーディアン紙) ほとんどの方は野生動物のドキュメンタリーを見たことがあると思いますが、トラもサイもゴリラやオラウータンも、そして今ではライオンやキリンも、この地球から消えていっているのです。

画像出典:英ガーディアン紙

人間は本当に、他のほ乳類を消滅させても孤独を感じないでしょうか?私自身は、そんな世界には住みたくありません。人間と家畜しかいない、すべての場所から野生が消えた世界は、なんだかとても恐ろしい世界のように、私には感じられます。それに、本来どんな生物も、その生態系を維持管理する役割を担っている大切な種です。人間にとって不都合でも、です。
 
人間が利用するためだけではない、彼らの住処としての自然を回復することが私たちの急務です。きれいな空気や水、豊富な食べ物、自由に移動し繁殖できる空間。今私たちが必要としているものに似ているのは、同じ生きものとしては当然です。

ミニコラム

「人新世」という言葉を、みなさんは聞かれたことがあるでしょうか?もとは地質学的な表現で、後世の人たちが地層を見た時、今の時代は人間の影響が非常に大きいということが特定できるということなのです。実際、陸の75%、海の66%は人類が大きく姿を変えたと言われています。そして極端な人新世派は、地球には人類と家畜以外の生き物は必要ないとしています。人類が地球上に占める生き物としての割合は、0.01%です。地球上で一番多い生物は植物(82%)、微生物が13%、そして残り5%に人間を含むその他の生物が入ります。

他にも生きもの絶滅の影響が出るでしょう
野生の生き物たちはどんどん地球からいなくなり、ウイルスは新しい宿主を探す。そして人間という恰好の宿主が野生動物の住処に森を切り開いて飛び込んできたのです。この状況を、「ヒューマン・ミート・マーケット(人間の肉市場)」という言葉で表現した自然保護家がいます。(Global Wildlife Conservation)
 
これは残念ながらまた起こるでしょうし、生きものの絶滅や生態系の破壊によって他にも想像していなかった影響が出るだろうと多くの専門家は心配しています。
 
きれいに暮らしていたつもり
コロナ以前から、人類は虫や「ばい菌」を排除してきれいに暮らしていたつもりでした。ところが自然界の法則の外で暮らすことが人間を病気に対してとても弱くしてしまっています。これはある程度ワンちゃん・ネコちゃんにもあてはまり、パフィーズの悩みどころですし、みなさんも悩まれていることです。

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私たちは生きものとして本当は何が必要で何を大切にしたいのか。考える作業は苦痛かもしれません。でも、それをしないなら、絆創膏だけ貼って膿を取り出さないのと同じことになってしまいます。

恋しくても、もとには戻れないと覚悟する必要があるかもしれません
今は誰しもが、以前の自由な生活が恋しい面があると思います。でも私たちは、もとには戻らない・戻れないかもしれない、そう覚悟する必要があるかもしれません。2022年くらいまでは途中の小康状態を挟んで今の状態が続くと予想されていますが、別の感染症が発生する可能性はとても高いのです。

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残念ですが、ものごとは急に良くならないでしょうし、地球の回復なしに来る「好景気」は一時的でしかありません。そしてそもそも「好景気」は、私たちに充足感を与えてくれたでしょうか?今にも溢れ出しそうな問題を抱えた「表面張力」に戻るのではなく、途中つらくても、もっと地に足のついた道は考えられないでしょうか?

楽しい未来を描けるはず
楽しい未来を描くことだってできると私は思っています。例えばアフター・コロナの「グリーン・リカバリー」として、メキシコシティやパリなど道路を大幅に自転車専用に指定している都市、アムステルダムのように全く新しい考えの経済理論を導入する都市が出てきました。そこには、ペットと暮らしやすい要素だって入っているかもしれません。   
 
黙ってそばにいてくれる素晴らしい友だち
マイクのステートメントにあった通り、生きものとしての幸せは、本来もっと原始的です。先が見えない今でも、毎日の生活に小さくても充足感を得られる楽しみや喜びを見つけることはできます。そこから大きな問題の解決策が見えてくる、そんな期待を私はしています。本当に幸運なことに、私たちには、黙ってそばにいてくれる犬や猫という素晴らしい友だちがいます。新型コロナウイルスも暗いニュースも関知せず、私たちと生きものとして向き合ってくれる、多くの方が言う通りのピュアな存在です。

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野生と人間社会の間にいる犬や猫
なぜ人が犬や猫と暮らしたがるのか。実はいろいろな研究や説があります。一つ、私が共感する考え方を紹介して、この記事を終わりにしたいと思います。
 
犬や猫は、完全な野生と、完全な人的環境の間にいます。彼らは人間の生活スタイルに合わせることができ、しぐさや言葉を理解し応じる能力を発達させました。一方で、人間が失った生きものとしての能力を思い起こさせる時があります。野生動物との間に人間には入り込めない相互察知と認識があるようで、生きものの世界の神秘を垣間見せられる時があります。

孤独な人類を自然界への復帰に案内してくれる
地球上で孤独になりつつある人類は、そのことを無意識に不安に感じている、そんな説もあります。その人類を自然界につないでくれる存在。その意味では犬や猫は人間にとって赤ちゃん扱いする対象というより、時に私たちを自然界への復帰に導く案内役である、私はそう思います。もちろん、お世話は必要です(笑)。
 
実際、犬に新型コロナウイルスを探知してもらうため英政府が訓練の費用を拠出しました。素晴らしい能力です。自然のメカニズムが科学的に解明されてくるのはずっと後ですが、犬や猫はまだそのメカニズムの中にいるのかもしれません。パフィーズでオーガニックやホールフードにこだわる理由もここにあります。
 
犬や猫の運命も、私たち人間次第
犬や猫と暮らすのが贅沢になり難しくなる、そんな未来も否定できません。私はそれがとても心配です。だからそうならないよう、今は人間がどんな未来を描くのか、地球と共存できるのか、を深く考えることが大切だと思うのです。犬や猫の運命も、私たち人間次第です。

そして、私たち人間と運命を共にしてくれる彼らに、してあげられることはできるだけしてあげたい。その時間が短かすぎることは本当に残念ですが、コロナは思わぬ時間を私たちにくれたと思いませんか?彼らから、生きものとしての歓びとは何なのかを学ぶ。そして私たちが彼らの半野生の生きものとしてのニーズに本当に応えられているかを考える。 身体は自然の一部で、自然は身体の延長。だから自然のサイクルを担う地球の生きものとの共存が私たちみんなを救う道なのだろうと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

文中の参考リンク
The Guardian, ” Humans just 0.01% of all life but have destroyed 83% of wild mammals – study” (https://www.theguardian.com/environment/2018/may/21/human-race-just-001-of-all-life-but-has-destroyed-over-80-of-wild-mammals-study)
Global Wildlife Conservation, “Coronaviruses and the Human Meat Market” (https://www.globalwildlife.org/blog/coronaviruses-and-the-human-meat-market/?fbclid=IwAR2fVSYKo68FpO4c6Jzq7N1xq19X1u2HSG-Y8cj4mTUUfR5hFiG173KUYX8)